夏季休暇、年末年始の休みをすべて年次有給休暇で消化させることは可能ですか?

 労働基準法39条の年次有給休暇は、従業員が持っている年次有給休暇の残日数の範囲内で、取得時季を指定したときには、使用者が時季変更権を行使しない限りは、従業員が指定した日に年次有給休暇を取得することができるとされているものです。したがって、いつ年次有給休暇を取得するかは原則として従業員の自由であり、基本的には使用者が年次有給休暇を取得する時期を指定することは出来ません。
 ただし、その例外として、「年休の計画的付与制度」(以下「計画年休」という)があります。この制度は、従業員の過半数を組織する労働組合、これがない場合には従業員の過半数を代表する者との間で、年次有給休暇を与える時季について書面で協定した場合には、各従業員が持っている年次有給休暇日数のうち5日を超える日数の取得時季を指定することができる制度です(労働基準法39条6項)。
 つまり、「計画年休」とすることができるのは、各従業員の年次有給休暇の残日数のうち5日を超える部分だけです。
 したがって、たとえば、夏季休暇、年末年始の休みをすべて年次有給休暇で充当しようとする場合、夏季休暇、年末年始の休みの合計日数が10日の場合は、従業員全員が15日以上の年次有給休暇を持っている場合でなければなりません。
 たとえ、採用時に説明して、合意を得ている場合でも、労働基準法は最低基準を定めるものです。
したがって、この最低基準を下回る内容の合意は無効となり、労働基準法が定める最低基準で合意したものとして取り扱われます。
 労働基準法は、毎週少なくとも1回の休日を与えるか、または4週間を通じ4日以上の休日を与えることを使用者に義務付けています。これを満たしていれば、夏季休暇や年末年始を休日にしなければならない法律上の義務はありません。
 夏季休暇や年末年始の休日が、法定休日以外に10日ある場合、これについて、会社の特別休暇として有給とするか、それとも年次有給休暇を充てるか、あるいは年次有給休暇の不足する従業員に特別休暇として付与するかという問題は、基本的には労使の話し合いによって決めるべきものです。
 前述したように、夏季休暇や年末年始に年次有給休暇を充てる場合は、各従業員の年次有給休暇残日数のうち5日を超える部分ですので、夏季休暇や年末年始に充てることができる日数は、従業員の年次有給休暇の残日数によって異なります。
 当然、年休の日数が14日以下の従業員については、夏季休暇や年末年始の10日に充てられる年休の日数に不足が発生します。
この不足部分を会社の特別休暇として有給とするか、無給の休暇とするかは、法的な規制はありませんので、労使で相談して決めることになります。
 ただ、年次有給休暇の少ない従業員の特別休暇を無給とする場合は、夏季休暇や年末年始についてすべて年次有給休暇(有給)で充てることができる者と、その一部を特別休暇(無給)で充てなければならない者との間で不均衡になってしまう点は否定できません。このような従業員間の不均衡を避ける意味では、年次有給休暇の最も少ない従業員の不足する年次有給休暇日数分を全従業員の特別休暇とする方法(有給か無給かは労使で別途話し合い)も考えられます。

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