退職金制度が、会社の首をしめる理由

 退職金問題で経営者の頭を悩ます要因は次のとおりです。
@ 基本給連動のため、基本給の管理を怠ると、いくらの退職金になるか予測不能(白地手形を振り出しているのと同じ)
A 退職金算出方法が基本給連動になっているため、基本給管理を行うと貢献度の高い従業員に対し、昇給したくても昇給ができない。→手当の増設で緊急避難。従業員に説明のできない賃金管理を強いられている。
B 過去の定期昇給の恩恵に授かることができた幸運な従業員(特に高齢者)に多大な退職金を支払うことが予想される。
C 加齢とともに、加速度的に累増する退職金
D 団塊世代の退職で、これから増える定年退職者
E 退職金原資の目減り(外部積立しているが、予定利率5.5%と実際の運用金利との大幅乖離にて積立金不足の発生)
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退職金問題は自覚症状が出たら、要注意!

 退職金制度は「成人病と同じ」----以下のような自覚症状が4つ以上ある場合、かなり危険ゾーンに入っています。
以下の症状が出ている場合は、非常に注意が必要です。
@ 勤続20年以上の従業員が多い。
A 基本給で退職金が決まっている。
B 定年退職時の退職金が1,000万円以上である。
C 適格年金(取扱い金融機関 生保・信託)、厚生年金基金に加入している。
D 退職給与引当金で、退職一時金制度を維持してきた。
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退職金制度は廃止できるのか?

 退職金を支払うための外部積立(適格退職年金等)をやめれば、わが社には、退職金制度がなくなった?と考えている会社があったとしたら、それは大きな誤解です。

 退職金制度(就業規則中の退職金規程に定められた制度)と、その資金準備のための外部積立機能(適格退職年金等)は別個に考えるものです。たとえ外部積立を廃止しても、退職金制度は敢然と残っているものであり、同時に消滅するものではありません。

 しかし、廃止したことがそんなに社会問題になっているような感じではないと、おっしゃる経営者の方もいられます。退職金制度を廃止したとしても、今在籍している従業員からの訴えが起きていない理由は、次のとおりです。
 「そもそも、退職後でなければ、従業員は退職金を求める権利が発生せず、退職金の支給・不支給あれこれで訴える権利が従業員側にないこと」です。
 年金支給開始年齢が、段階的に65歳へと移行している中で、既得権を侵害された従業員が、多額の退職金問題で、泣き寝入りするとは、考えにくいと思います。

 このような会社の場合、いつ、眠った子が起きるかわかりませんので、常に、リスクを抱えながらの経営を強いられることになります。
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そもそも 退職金って なぁーに?

 そもそも退職金って何でしょう?
 御社は、下記の、どのスタンスで、退職金を支払いますか?
@ 日頃の賃金が安いから、退職後に、その分を後払いする。(賃金後払い説)
A 永年勤務してきた従業員の老後の生活を補償してあげたい(老後保証説)
B 過去の勤務に対する功労に対し、支払いたい。(功労恩賞説)

 Aをとるなら、御社の退職金制度は、日本版401K(確定拠出年金)が合っているのかもしれません。ただ、支給事由が「老齢」ですから、従業員の定年退職前の自己都合退職時には、退職金を支給できないことになります。

 一方、Bの過去の功労に報いる立場をとれば、従業員が退職する際の手切れ金としても上手に使えます。「円満退社」もあれば、「訳アリ退職」もあります。中小企業の退職一時金制度は、いわば、この「訳アリ退職」のときの手切れ金として、伝家の宝刀を残しておくべきです。
 
 すでに退職金制度を導入している会社は、退職金制度を一方的に廃止することは不利益変更に該当し、事実上、廃止は困難です。
 だからこそ、中途退職者の退職金を減額したり、ライバル他社に転職した従業員の退職金減額を可能にする、いわば、経営者の意思を反映させることができるような、退職金制度の構築が望まれます。
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どうやって 退職金制度を変更したら いいの?

 旧制度(基本給連動方式)から新制度に移行する場合、当然、「不利益変更」の問題は避けて通ることができないケースが多くあります。なぜなら、退職金の水準を切り下げることが会社の目的となっている場合が多いからです。

 会社が従業員に対して不利益変更する場合、それが正当化されるためには以下の7つの要件を満たす必要があると言われています。ただ、私は、中小企業が、この7つの要件を全部満たすことは、不可能であると考えます。ですから、限りなくこの要件を充足できるようなスタンスで、臨んでいくしか方法がないのではないでしょうか?

@ 導入の必要性
        新退職金制度を導入しなければならないほど、経営が逼迫しているのか?
A 制度の合理性
        特定の年齢層の従業員を不利益変更の対象にしていないか?
B 程度の問題
        社会通念上、従業員が許容できる範囲内の減額か?
C 従業員への十分な説明
        従業員に、新制度の内容を十分に説明したか?
D 代償措置
        退職金水準(制度変更後の退職金水準・・・期待権)が実質減額となるため、それに見合う従業員にプラスになるような制度を提供できたか・・・たとえば、60歳以降も働けるような継続雇用制度等)
E 激変緩和措置
        新制度導入に際し、当面、何年間は旧制度も適用するなどソフトランディングを図っているか?
F 世間的な整合性      
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退職金の支払い準備をどこで積んだらいいの?

 平成15年4月に確定給付企業年金法が施行され、税制適格退職年金(別名新企業年金保険)は、平成24年3月をもって廃止されることになりました。

 ここでは、税制適格退職年金に加入していた会社が、次の移行先としてどんな外部積立先があるか、主な移行可能先をご紹介します。
1.中小企業退職金共済  
 メリット   @国の制度で安全性が高い
        A掛金は全額損金計上
        B掛金は5,000円〜30,000円の16種類から選択
        C掛金月額が変更可能(減額の場合は従業員の同意が必要)      
        D適格退職年金の解約返戻金を移行することができる
 デメリット  @退職金が社長の頭を飛び越して、直接、従業員に支払われてしまうこと
        A加入後11ヶ月の場合は掛け捨て
        B3年7ヶ月以降でないと掛け金相当額を上回らない
        C今後の運用利回りの好転によって発生する剰余金の50%は中退共の累積損失に充当され、結果的に既存加入会社の補填をすることになる
2.確定給付企業年金(規約型・基金型)
3.401K 
  メリット @確定拠出であるため、運用リスクが発生しない
  デメリット@従業員への投資教育義務が会社に課せられる(コスト負担あり)
        A支給事由が「老齢」であるため、60歳まで下ろせない
        B解雇や訳アリ退職時の手切れ金としての使い方ができない   

 業種別に従業員人数や資本金の制約があるが、一般的には自社の退職金水準の○○%を中退共で積み、残りを生命保険等で準備するのが一般的です。
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中小企業向けの、これからの退職金制度とは

 現在の中小企業の多くの退職金制度は、基本給を算定基礎とした賃金比例方式が大半です。少し前までは、大企業でさえ、その方式をとっていました。しかし、多くの大企業は、この危険極まりない制度から既に制度を変更しています。
 賃上げ(定期昇給)が退職金に影響するこのような退職金制度から、早く脱却することがのぞまれます。

 【中小企業が取り得る退職金制度の条件とは】
@ 単純明快なものでなくてはならない
   (細部にわたる記録や保存がなければ算出できない退職金であってはならない)
A 永年の勤務における、過去の功績を反映したものでなければならない

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