是正勧告が頻繁に発せられる背景

 ここ数年、労働基準監督署による、是正勧告は、なぜ増えているのでしょうか?
 この背景には、あの有名な電通事件があります。過度な長時間労働により「ウツ病」を発症し、自殺したケース(本件は両親の損害賠償請求が認められた)です。また、他の事件においてもその後、最高裁が過労死を労災として認められるようになったことで、行政が、会社の安全配慮義務に対して各種指針を打ち出したことが挙げられます。                   是正勧告の全ページを読む
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監督署の調査(臨検)は大きく分けて二通りある

 【@ 定期監督】 労働基準監督署がその年度の行政方針を策定し、それに基づき重点業種や重点ポイントを定めて行う監督です。
 【A 申告監督】 労働者から法令違反等の申告(いわゆる、内部告発)が労働基準監督署にあったときに行われる監督で、最近この申告監督が急増しています。円満退社でない場合は、退職者が賃金明細書やタイムカードの写しを監督署に持参している光景をよく見かけます。

サービス残業や賃金不払いで是正勧告が出た場合が最もこわい

 労働時間・割増賃金不払い、また残業単価の算出方法の相違により差額分を支払え!という・・・こんな是正勧告を受けてしまった場合が、会社としては、キャッシュアウトを伴う事項であるため、最も苦慮することです。
 今後、適正に時間管理や計算を行って残業代を支払っていくとなれば、一気に人件費が上昇することが考えられます。また、遡及して未払い賃金を支払う羽目になれば、従業員の少ない会社においても、一時に数百万から数千万円の支払いが必要になるかもしれません。

是正勧告が出るケース

 行政の重点方針のキーワードは、大きく分けて、労働時間適正把握、過重労働による健康障害防止、サービス残業(割増賃金未払い)の3つです。
 実際に臨検があった場合、是正勧告が出るワースト5の上位ランキングは、「労働時間」・「就業規則」・「割増賃金」・「労働条件の明示」・「賃金台帳」の順となっています。
 それでは、具体的にどんなケースの時に是正勧告が出るのか、例に挙げてみます。
【労働時間】   @時間外労働に関する協定の締結及び届出なく時間外労働を行わせている場合。
A時間外労働に関する協定の届出はしているが、その上限を超えて時間外労働をさせている場合。
【就業規則】   @一事業場に10人以上の労働者がいるにもかかわらず、就業規則の届出をしていない場合。
A就業規則の変更届をしていない場合。
【割増賃金】   @時間外労働に対して、2割5分以上の率で計算した時間外労働割増賃金を支払っていない場合。(いわゆるサービス残業)
A残業単価の算出方法を間違えていることによる割増賃金不払い。
【労働条件の明示】@労働条件を書面で明示していない場合。
【賃金台帳】   @賃金台帳に労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を記入していない場合。

 その他、よく見受けられるのが、1年に1回の健康診断を行っていないケースです。

事前対策のための着眼点(ヒント)

 転ばぬ先の杖として、総務部の部長さんや社長は、下記のチェック項目については、必ず点検しておく必要性があるでしょう。
@就業規則 A労働条件の明示 B所定労働時間 C変形労働時間の有無
D所定休日 E時間外労働・休日労働に関する協定届(サブロク協定)
F割増賃金(残業代) G年次有給休暇 H健康診断

 労務管理の思わぬ落とし穴にはまって、企業業績向上に逆ブレーキをかけるようなことは、絶対にあってはならないことです。

 是正勧告を受けないために、就業規則は必ず、確認して下さい。

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